きたやまさんと20年
わたしときたやまさんの出会いは1994年だっただろうか、彼女はまだ19歳だった。
わたしが働いてるお洋服のお店の店長の妹で、
妹もSMAPのファンなの!いろんなところにコンサート行ってるんだけど未成年だしいろいろ怖いから一緒に行ってくれると嬉しいんだけど
店長のその言葉は、きたやまさんと初対面したときになるほどなと思わせる。
19歳にしてはあどけなく幼い顔に、ふにゃふにゃした声、
何よりもスローすぎるその話し方。。。
そしてとてもかわいかった。アイドル顔だった。
これまでの遠征エピソードを数々聞くと、デビュー前から全ステしてた当時のわたしとそこそこ現場が被っていた。まさか当時の熊本県にそこまでするSMAPファンがいたのかと驚いたものだった。
こんなにふにゃふにゃしてんのに、なかなかやるなコイツって思った。
思ったけども、
新幹線乗り過ごしたとかそのへんの話を聞いたときに、ホントこれはヤバイなこの人本当にひとりじゃダメだわ何とかしてあげなくちゃ、と思うようになった。ヤバイこの話が詳しく書けないのが残念なくらい残念すぎるのです。
木村くんファンのきたやまさんは、木村くんのどこが好きだとかそんなことは全く発しない。コンサートの前後も、全くそんな話をしない。訊ねればそんな話もするけど自らそれを主張しようとは決してしない。
ただいつも小さなふにゃふにゃの声で
たくやくん♡
って言ってるのだけは、コンサート中にも聞こえてるしC&Rにも参加してるし、なによりキチンと個人うちわを毎回欠かさず購入しビニール袋のまま胸の高さ保持して参加している。
わたしが熊本のお店から福岡のお店に移動してからは毎日会うこともなくなり、いつしかSMAPのコンサートにも全ステしなくなり、年に1度の福岡でSMAPのコンサートがあるときだけ、今では2年に1度のSMAPのコンサートのときにしか会わなくなった。
お互いいつの間にかママになってたりもする。
そのママになるちょっと前から、きたやまさんとやっと会える年に1度の、2年に1度のって機会に、きたやまさんの持ってくる自分エピソードがヘビーすぎて、それはそれはヘビーどころじゃなさすぎて、コンサートの内容よりもそっちの記憶のほうが残るようになった。
むしろそんな大惨事の中、今日よく来たね?!ってのが毎度毎度である。
もちろん今年も例に漏れずだった。
今年のエピソードを聞いたときに思わずまたか!!と吹き出してしまったけど、さすがに今年のは笑えないわ吹き出してごめんと謝ったほどヘビーだった。
人は生きてくうえで、いろんなことがあって、悩んだり苦しんだり、時には生きていたくないと思うことが何度もあって、久しぶりに会うとそんな話もしたい、てか、すると思う。
きたやまさん、実はね、わたし、貴方と会わないうちにこんなことがあってね…ってわたしのそのエピソードより数倍ヘビーなネタを、年イチとか2年イチに持ち合わせているきたやまさん。
毎度きたやまさんの話を聞くと、わたしの悩みや大事件は耳糞くらいの出来事で、世の中にはもっと辛く悲しい人がごまんといるんだって知らされる。
そんな辛く悲しいきたやまさんが、それでもふにゃふにゃ変わらず生きてるんだからわたしも生きていけるなって思う。勇気が自然と湧いてくる。
わたしが妊娠や出産や育児とかバタバタしてるときに、コンサートのときの交通機関やホテルの手配をしてくれるようになったきたやまさん。
このコ、そんなこといつの間に出来るようになったんだろう…ってそのときすごくびっくりした。
(わたしが)やってるのずっと見てきたから、出来たよ♡
って、そのときサラッと言ってて、ちょっと頼ってもいいかなってようやく思えたんだった。
今年、きたやまさんとわたし、そしてきたやまさんとは多分かれこれ18年ぶりになる関東のよしかわさんと一緒にSMAPのコンサートに参加した。
よしかわさんが言った。
きたやまさん、随分しっかりしたね。
本当は何でも出来たのに、ちゃっちゃと(わたしが)やっちゃうから、(わたしを)たててくれてたんだよ、きっと。そんなコだよね。
なるほどなと思った。
何にも出来ない頼りない妹だから面倒みてほしいって言われて、そのまんまそれをやってたけど、実はちゃんときたやまさん自分で出来てたんだよね。
ママになってしっかりしたなと思うところもあるけど、きっと若いあの頃からそこそこしっかりしてたんだろう。
だからわたしの数歩うしろからちょこちょこついてきてたんだ。
本当はわたしの前を歩くことも出来たのに、きたやまさんはしっかりしてたからこそ相手を思えてたんだな。
そんなきたやまさんも、四十路になる。
「来年だからまだ39だよぅ」
って、四十路突入を少しでも焦らそうとするきたやまさん。
来年っていっても、貴方のお誕生日は1月2日です。
元旦コンサートのあと、青山のデニーズでおたおめしたときに、貴方のキライなバナナケーキしかなくて、それでもお祝いしてくれたから嬉しいってバナナケーキ食べたきたやまさん。きたやまさんってそんな人だった昔っから。
お互いあのときから30キロほど太りましたけど、いつまでもSMAPを好きでいましょうね。
生きる勇気をありがとう